人形劇団ひとみ座 『はれときどきぶた』
脚本・演出 「西上寛樹さん」講演会
~演劇って何?子どもって何?生きるって何? ~

  

9 月幼児・小学生例会『はれときどきぶた』事前お楽しみ企画
『教えて!西上寛樹さん』演劇って何?子どもって何?生きるって何?

2020 年 8 月 20 日 18:30~20:30 高知市南部健康福祉センター 参加者:25名
シナリオ工房天邪鬼(あまのじゃく)』 西上寛樹さんプロフィール: 愛媛県宇和島市出身(1983 年生まれ) 3 人兄弟の真ん中 児童演劇作家・演出家/『はれときどきぶた』脚本・演出 児童演劇を通して社会と関わり、子どもを通して人間とは何かを考えている。

開催にあたり、新型コロナウイルス対策として、密を避け換気をよくするなどし、参加者にもマスク着用・手指消毒・体温測定の協力を得ました。 2m以上の間隔をあけ、来場者に確認を取ったうえでマスクを外して、西上さんは話し始めました。

あまのじゃくだった少年が考える子どもとのかかわり

まず自己紹介。 屋号である「シナリオ工房 天邪鬼(あまのじゃく)」の由来は彼の少年時代 「斜めから見て文句だけを言うのはつまらない。『なんで?』と思うことは物事のおおもとに戻って考えてみる。」から来ている。

子どもはいないので子育てはしていないが、子どもとは関わっている。
劇を作る以外にも、小学校で相談員として子どもたちとかかわる仕事をしている。
すべての人がその人なりの子育てに関わってよくて、それぞれのポジションから発信することがいい。

「先に向かってする努力も必要だが、子どもに大切なのは「今」では?

最近怒っていること、気になることは、子どもの習い事などでもみられる、「○○するとこんなメリットがありますよ!しないとこんなデメリットがありますよ!」といったような、おとなの今の価値観を子どもに押し付けること。
教育には「時の洗礼がある」。その時はわからない、でも覚えている、わかる時がくる。 なぜ子どもがおとなの価値観にあわせなければいけないのか。
子どもが将来幸せに過ごせるようにと願っ て子どもの未来に投資することも大切な事、しかし、その一方で、子どもの「今」しか体験できないことへの時間が失われてはいないだろうか?

「幸せ」とは目の前にあるもの

♪しあわせは~歩いてこない、だから歩いていくんだね~♪
の歌のように幸せが遠くにあってつかみにいかなければ手に入らないという設定がおかしいのではないか? 幸せは目の前にあってそれに気付けるかどうかが大事だと思う。
そしてシェアしあうものではないか。

おとなが子どもに何かをするために劇をつくる時代は終わった

おとなが子どもに何かしてあげなくてはいけないというところに違和感を持っている。一番よくないことは、 子どもが喜ぶからと言って子どもだましのものを差し出すこと。これだけはしないと決めていた。初期のころは子どもを子ども扱いせずにおとなと同等に考えて劇を作っていたが、次第に「子どもはおとなとは違う」ということに気が付いた。 子どもたちが知ってることは、実はおとなたちが知らない(忘れた)のではないか。 「子どもたちの世界をのぞきに行くことによっておとなでも見つけられないものを見つけることができる」これが本当の児童演劇の在り方ではないかと思うようになった。

バーチャルな世界では体験できない子どもたちがたくましく生きるヒント

舞台を観ている子どもが、思わずお母さんの方に振り返る、思わず笑ってしまう、思わず言葉が出てしまう、それらはすべて、その瞬間に感じたことが身体情報として漏れ出てしまったもの。そしてそれをキャッチし合い、シェアし合っているのが、共に舞台を観る「観劇体験」であり、バーチャルには代替えできないこと。 思った瞬間に出てくる言葉、身体が動くことを大切にしたい。子どもたちの想像力が動くことが大切で、体験 をみんなでシェアして、深い世界に入っていく。子どもたちにそんな機会が増えることを願って劇を制作している。

最後に、
「劇場の『例会』は一期一会ではない。関係性を作りながら、みんなで盛り上がっていくもので、劇の始まる 前から、劇は始まっている。」と締めくくられました。
この時期に実際に西上さんに、生の声でお話を聞けたことは刺激的で舞台裏の小ネタなどもおりまぜ、例会への期待感をわくわくと高めるも のでした。

ERI

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