高知市こども劇場50周年記念事業の皮切りとして「茂山狂言」を決めてから2年近く。
とうとうこの日が来ました。秋晴れの気持ちのいい天気も私たちを後押ししてくれているようでした。
会場には、「赤い羽根共同募金」や「茂山狂言へ!そろりとまいろう!!」「高知市こども劇場」の幟や看板が立てられていて、気持ちが高まります。
50周年の記念グッズも今回初お披露目です。たくさんの人がこの日に向けて準備してきたものが実現し感動的でした。
コロナ対策としては、検温・手指消毒・チケット半券の裏に氏名記入してもらう・お客様にチケットをもぎってもらう・会場内は密にならないような座席設定にするなど、努めました。
昼の部『初級編』
小さい子どもたちが多い昼の部は、わかりやすい演目の『附子』(ぶす)と『蝸牛』(かぎゅう)です。
最初の「狂言のおはなし」の中で、分からない言葉はスルーしてくださいとありました。しぐさや擬音語で大体のことはわかるのです。初めて狂言をみる人はとても安心したと思います。
『附子』では、附子という猛毒が入っているから開けてはいけないと言われていた桶の中に入っていたのは実は砂糖で、それを太郎冠者と次郎冠者が食べた瞬間の子どもたちの何とも言えない反応や、主人が帰ってきたときの「どうしよう」という気持ちが伝わってきてどきどきしました。「あおげよ、あおげ!」「あおぐぞ、あおぐぞ!」の掛け声が何度も繰り返されるところや、砂糖を食べるときの様子が笑いを誘います。人間って「やってはいけない」と言われるとやりたくなるものですね。
また、ところどころ、現代語で表現しているところもあり、子どもたちへの配慮を感じました。
『蝸牛』では、蝸牛がどんなものかを知らずに探しに行くという設定からしておかしいのですが、案の定山伏にだまされ、太郎冠者は最後、一緒に囃しにのってしまいます。最後の「でんでんむ~しむし」と踊るところでみんなが手拍子をうち、会場が一体となり盛り上がりました。
「狂言のおはなし」は
丸石やすしさん主人から留守中決して開けて
はならぬと言われた『附子』中身は砂糖
家来は全部食べてしまいます主人の申しつけでよく知らぬ
『蝸牛』を探しに行く太郎冠者山伏に一杯
食わされてしまいます創立50年を祝う謡を
いただきました
夜の部『中級編』
夜の部はおとな中心でした。演目は『因幡堂』(いなばどう)と『二人袴』(ふたりばかま)です。
『因幡堂』では、離縁したはずの嫁が再婚相手として現れたことを知った夫の狼狽ぶりがおかしいやらかわいそうやら。今も昔も「鬼嫁こわい…」の男性の心の叫び。
狂言ではすべて男の人が演じます。女性は女性の役独特の衣装を着ているのでそれと分かります。
『二人袴』は親子や兄弟の設定があるそうですが、今回は兄弟でした。ご当地ものの龍馬や芋けんぴなどの表現に会場は大喜び。一つの袴を兄と弟がとっかえひっかえはく様子に大笑いしました。最後に舞い踊るところで主人にばれてしまい二人は退散。わかりやすいシチュエーションで子どもにも大うけだったようです。
「狂言のおはなし」は
茂山逸平さん『因幡堂』鬼嫁の居ぬ間に
再婚をもくろむ男男の計画を知った鬼嫁は
再婚相手になりすまします知らずに固めの盃を交わす男
このあと修羅場の展開に『二人袴』出てきた時から
愛らしさ爆発の弟千之丞兄と一つの袴で舅への挨拶を
乗り切ろうとしますが
そのうち袴は真っ二つに前掛けのように袴を着けて
何とかやり過ごそうとしますがついにバレてしまいます 会場は終始爆笑の渦でした
高知市こども劇場創立50周年記念事業
狂言実行委員会