企画の趣旨と内容
2021年11月28日(日)、高知市春野文化ホールピアステージにて、高知市こども劇場創立50周年記念講演会『心の栄養ってなんだろう?』を行いました。
「舞台芸術鑑賞が、子どもたちとそれを取り巻くおとなたちにどのような影響を及ぼしているか。」
活動に大きく関わってきた劇場会員の想いを聞き、アカデミックな視点と具体的な事例に基づいた講演を受けて、参加者が「心の栄養ってなんだろう?じっくり考えてみよう!」となることがこの講演会の狙いでした。
講演会の内容は盛りだくさん!第1部『高知市こども劇場会員による座談会』、第2部浅野泰昌先生の基調講演『心の栄養ってなんだろう?~文化芸術を通した乳幼児の育ち~』に加えて、共催のコープ自然派しこくこうちセンターの協力で第0部『自然派ミニフェスタ』と『木工教室』を行いました。
生活協同組合コープ自然派しこく こうちセンターとの共催
生活協同組合コープ自然派しこくは、2021年4月で10周年を迎えました。
高知市こども劇場は、コープ自然派しこくより高知県では唯一の支援認定されたNPO団体で、共にお祝いの記念イヤーとあって、5月のフェスティバルの際には協賛だけでなく『たべる』コーナーにも参画いただいていました。本講演会においては共催という立場で、目的を共有し思い描く講演会のカタチを出し合う中で、「栄養とは、普段は身体の面だけで考えがちだが心の発達にも欠かせない、生きていくために必要なもの。そんな、生きていくために必要なものを深く考える機会となる講演会をしよう。」という共通認識を得て、『栄養』をキーワードとして題名に採用することにしました。
第0部 自然派ミニフェスタ・木工教室
この日は晴天!コロナ禍にあって、新規感染者もしばらくない落ち着いた状況で、絶好のお出かけ日和でした。
ピアステージ入り口を入るとすぐに見えるプロムナードやホワイエでは、11時から第0部『自然派ミニフェスタ』が開催されました。新鮮な野菜や美味しいものが並ぶオーガニックミニマルシェと自然派のショップが開かれ、劇場50周年記念グッズの販売ブースも賑わいました。小ホールの木工教室では、子どももおとなも集中して世界で一つだけのペンダント作りをしました。
ホワイエでは、50周年のあゆみやこれまでの舞台鑑賞例会のポスター・土佐チルの記念アートなども展示し、映像での活動紹介もしました。また、5月のフェスティバルの時に作られた撮影コーナーを講演会仕様にリニューアルし、設置しました。
午後になり、第1部『高知市こども劇場会員による座談会』への案内が始まると、第0部のオーガニックマルシェと木工教室は終了。大ホールへと拠点が移りました。
第1部 高知市こども劇場会員による座談会
第1部の座談会の登壇者は現高知市こども劇場の会員で、活動を通じて子どもの育ちと文化芸術に関わり続けてきて、経験則として知っている・実感している『心の栄養』とよびたいものを語り合いました。
それぞれの人物紹介は活動を共にしてきた会員によるオリジナリティあふれる楽しいもので、その時点で普段からの交流の深さが伝わってきました。
当日を迎える前に行われたオンラインでの登壇者ミーティングで、自分自身と子どものこと、こども劇場への想いなど話し合っていたせいか、時々会場に笑い声が起こったり、共感して頷く様子がうかがえるなど、アットホームな雰囲気の中あっという間に1時間が過ぎていました。
第2部 基調講演『心の栄養ってなんだろう?~文化芸術を通した乳幼児の育ち~』
休憩を挟んで、第2部はくらしき作陽大学の浅野泰昌先生による基調講演『心の栄養ってなんだろう~文化芸術を通した乳幼児の育ち~』でした。第1部を受けての話から始まり、岡山で水害に遭われたその後のことや、人形劇などの舞台作品を観るときの子どもとおとなの見方の違いや、乳児の認知能力、共に観るという行為から考える子どもの心の栄養とは?など、具体的な事例を挙げて、子どもと舞台芸術について、アカデミックな立場からわかりやすく講演していただきました。
事業を終えて
ご来場の方からは、
- マルシェの賑わいを味わうことができて、楽しかったです。
- 木工ワークショップでは時間を忘れて夢中になりました。
- こども劇場に関わる人たちの思いがよくわかり、個人の体験に基づく言葉が心に染みました。
- 会員だけでなく、地域の親子の育ちの場を、今までもこれからも作っていきたいという思いをひしひしと感じました。
- 子どもの感受性と共感力についてわかりやすく語られ、理解しやすかったです。
- 幼稚園の先生をしている友だちを誘ってきました。他の先生方にも聞いてもらいたかった!
などの感想をいただきました。
約1年の歳月をかけて準備し挑んだ講演会も、始まってみるとあっという間!11月の終わりとは思えないほど眩しかった日差しも、撤収する頃には赤い夕陽となって会場を優しく照らしていました。
会場の大きさからすれば参加者はとても少なく、もっとたくさんの方に来ていただくためにもっと努力はできなかったか?という悔いはあります。が、参加者の満足が感じられる感想をいただいて、一定の成果につながったという手応えも感じられました。
準備物作成から当日まで協働してくれた高知市こども劇場の専門部「みんなぁ育ち合おう部」の皆さん、当日スタッフとして頼りになった10代から30代の劇場っ子たち。初めての共催事業に、最大限協力をしてくださったコープ自然派しこくこうちセンターと関係者の皆さん。十数年ぶりの高知市こども劇場の催しを、全面的にバックアップして実現させてくださった春野ピアステージのスタッフの皆さん。
そしてご来場くださった皆さん。
たくさんのご協力を得て無事講演会を終了することができました。本当にありがとうございました。
高知市こども劇場創立50周年記念事業
講演会実行委員会 実行委員長 武市真寿美