子どもとおとなが一緒に年4回、生の舞台(演劇・音楽・人形劇など)を楽しみます。
定期的・継続的に観るので、舞台鑑賞(定)例会と言います。
2022年9月21日(水)・22(木)19:00開演、高知県立県民文化ホール第5多目的室にて、劇団むうによる《小学生以上例会》『おこんじょうるり』を上演しました。
始まりの合図は、土佐チルによる『地べたっこさま』の朗読。
しっとりと始まった、と思いきや、明るく登場する劇団むうのお二人。
さて、たった二人だけの劇団で、どんなお芝居になるでしょうか。
導入の明るい雰囲気から一転して「いたこのばあさま」が腰を痛めて動けなくなったあたりから、会場の空気がすっと変わるのがわかりました。
子どもたちの背筋がわずかに伸びて、静かに集中し、舞台で繰り広げられるお話の中へ皆で入っていくあの感じ。すぐれた作品の時に起こる、会場の一体感が序盤からすでに生まれています。
お経のような不思議な浄瑠璃を狐のおこんが唸りだすと、十日も動けなかったばあさまの腰が踊りだすほど軽くなる。
これはすごい、仕事に使いたいから教えてくれと、いたこのばあさまはおこんにお願いして練習するも、歌が壊滅的にへたっくそ。会場からも大きな笑いが。
何度やってもうまくいかないので、仕方なく、キツネおろしのいたこのばあさま、何の因果か本物のキツネを背中の服の下に背負って病人治しをするハメになります。
舞台装置は簡単そのもの、衣装も最低限。なのにそこにいるのは、いたこのよれよれなばあさまと、もふもふフワフワの可愛いちびっこ狐にしか見えません。
二人の共同作業でいたこのお仕事が成功したあと、もらった饅頭を食っているシーンなんて、ものすごくうまそうに見えてきてついついお腹が空いてくるほど。
特に、おこんの役の方は一人で何役もこなして、それがそれぞれちゃんと違うキャラクターに見えるんですね。芝居も声の通りも素晴らしく、安定の演技力です。
そして、緊迫感ある終盤へと雪崩れ込みます。
おこんの危機のとき、小さい子どもがひとり、思わずといったふうにすっと立ち上がりました。
それが舞台にあまりにピタリとあっていて、そして会場みんなの気持ちを代弁しているようで、不意をつかれて涙がひゅっと飛び出そうでした。
“おこん うちへ帰ろうな ずっと一緒だ“ はずるい。 泣くやつやん。
お芝居は静かに丁寧に終わりました。
この題材でここまでドキドキとハラハラ、笑いと涙を引き出すというのはすごい。
ハイレベルな演技力が光りました。
よい舞台をありがとうございました。劇団むうのみなさん、ぜひまた高知へいらしてくださいね。
【okabayashi】
打ち合わせ
開場前に劇団むうさんと例会当番で打ち合わせをしました。例会当番は劇団の方と距離が縮まる楽しいひとときでもあります。看板も当番が作ります。
〈諸注意あいさつ〉、ドキドキするけど人気の当番です。
〈カーテンコール〉の当番、劇団の方にありがとうの感謝を込めてプレゼントを渡します。