赤い羽根共同募金助成事業
高知市こども劇場創立50周年記念事業
「狂言ワークショップ in 三里小学校」報告(3)

(特非)高知市こども劇場主催・(公財)高知県文化財団共催
特別事業「狂言ワークショップ in 三里小学校」
9月18日(金) 13:45~15:20(5・6時限目)
高知市立三里小学校 体育館
三里小学校6年生対象(当日33名参加)

11月の狂言本公演を前に、高知市仁井田の高知市立三里小学校にて授業と連携した狂言ワークショップを行いました。講師は三世茂山千之丞氏。6年生の児童33名が参加しました。

子どもたちに日本の古典芸能である狂言に直に触れる機会を作りたい、コロナ禍における子どもたちを元気づけたいという想いのもとに企画したものでした。実際に先生のお話では「学校の行事等も軒並み縮小・中止され、子どもたちの表現の場が狭まっている。だから今回のワークショップを子どもたちもとても喜んでいる」とのことでした。

授業開始のチャイムが鳴り、体育館に入って来る子どもたち。手を振りながら千之丞さんが笑顔で登場すると、「何が始まるのかな」というドキドキワクワクの雰囲気に包まれました。この日は、紺地に白で茂山千五郎家伝統の「だるまミミズク」が描かれた浴衣に袴、顔にはマウスシールドといういで立ちでした。

主催の高知市こども劇場が挨拶し、三里小学校でワークショップをすることになった経緯や想いも語られました。「水分補給は適宜しっかりとってね」等、やさしい気配りと親しみのわく様子で子どもたちに話しかける千之丞さん。

いよいよワークが始まりました。

まずは狂言の「笑い」を披露して下さり、「ハアアーッ ハッハッハッハー」と愉快な大音声が体育館に響き渡りました。その後みんなで「ンンンーーー」と声出しや体を使って遊ぶゲームをしました。最初は様子をうかがいながら動いていた子どもたちも次第にほぐれてきて、動きも笑顔も増えていきました。

続いて、狂言独特の所作をレクチャー。 そろりそろりのすり足では 、横一列に並んで体育館を行ったり来たり。さすが千之丞さん、上半身は不動のまますり足で進みます。子どもたちも千之丞さんの話を集中して聞き、よく見て動いていました。

水分補給タイムをはさんで、ますます元気になる子どもたち。

後半は再び発声から。千之丞さんが「ハアアーーー」と大きな声を出すと、子どもたちも同じくらい大きな声。これは序盤の発声の様子とは明らかに違い、腹から出る元気な声で、聞いているこちらも驚きました。小学生狂言師の伸びやかな笑い声で体育館が熱気に包まれました。

その後は、狂言での泣き方・果物を採って食べる様・鶏の鳴き方などを身体全体を使って表現する体験をして、最後はみんなで謡を歌いました。

「ざざんざ はままつのおとは ざざんざ」(浜辺に寄せる波の音は、ざざんざって聞こえるんだってさ)という謡で、心地よい節回しと「ざざんざ」という音の面白さが印象的でした。千之丞さんの朗々とした歌声と、子どもたちの歌声が合わさって一つの波となり、こちらも思わず感動して一緒に歌い出さずにはいられないほどでした。

ワークショップ終了後は、狂言ポーズで全員集合の記念撮影。

「狂言が楽しいイメージになった。」「いつもと違う筋肉を使った」「楽しかった!」と子どもたち。千之丞さんは「狂言は難しいものじゃなく、楽しいものなんだと感じてもらえれば」「難しく考えずに笑いに来てほしい」と話されていました。

後日、三里小学校の6年生と担任の先生から感想が届きましたので、ご紹介します。

子どもたち
子どもたち

・初めてのことだったけど、声を出せてよかった。

・間近で話を聞けて、はく力があった。
・そろりそろりができるようになった。

子どもたち
子どもたち

・狂言の入り口を体験できてよかった。
・機会があったら見に行きたい

先生
先生

このような状況の中で学校行事が減り、楽しいことが減っている中で狂言を体験できたことが子どもたちにとって有意義であったと思います。

教科書に載っている内容なので、授業で成り立ちや概要については扱ったものの、どうしてもその魅力であったり、代々受け継いでいるものを私が正しく伝えることはできていませんでした。今回、子どもたちは狂言の演者さんに習い、身近に感じたことで、狂言を身近に感じるだけではなく、今後の学習においても(江戸時代の人形浄瑠璃や歌舞伎など)代々受け継がれてきている文化があり、どのようなものなのか気になるきっかけになったと思います。

最後になりましたが、今回の事業、大変お世話になりました。このような場を設けていただきありがとうございました。

コロナ禍の影響で、行事や授業のやりくりにご苦労なさっておられるであろう中、私たちこそ今回の企画を実現させていただき、感謝しています。三里小学校の皆さん、ありがとうございました。

ちょっとウラ話
あらかじめテレビ取材があることを聞いて、ドキドキしていた子どもたち。
テレビに映る!?恥ずかしくない?!
取材を受けるクラスメイトを熱く見守る子どもたち。

茂山千五郎家と狂言教室
茂山千五郎家では明治時代後期から、狂言の普及・発展を目的として、全国の学校で「狂言鑑賞教室」を実施してきました。戦後、欧米文化一色であった国内において、いち早く日本の笑いの文化を学校へ発信したのも茂山千五郎家です。

▼ 茂山千之丞さん出演の本公演はこちら

■日 時:11月14日(土)
 昼の部「入門編」15:00開演
 主に小学生以上向け
4歳から入場可)
 夜の部「中級編」18:30開演

主に中学生以上向け(小学生から入場可)
■場 所: 高知県立美術館 能楽堂
■入場料:おとな3,000円
     子ども1,000円(4歳から高校生)

※有料託児あり 要事前申込

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創立50周年記念
キャラクター
ミル王子

創立50年記念特別公演「茂山狂言へ!そろりとまいろう」を実現するため、2020年1月から3月まで赤い羽根共同募金の地域テーマ型募金に取り組みました。「子どもと文化と地域をつなぐ魅力ある舞台公演を高知に迎えよう」というテ-マです。たくさんの方に募金協力いただき、目標額を大きく上回る募金額を集めることができました。
本当にありがとうございました。

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