5/14(木)、東京演劇アンサンブル 制作部の太田 昭(おおた あきら)さんをお招きして、こども劇場会員との交流会を行いました。
東京演劇アンサンブルといえば、今月末の5月例会『はらっぱのおはなし』。太田さんといえば、制作部での活躍はもちろん、川崎のおやこ劇場で育った劇場っ子でもあります。劇団のこと、今回の劇のこと、劇場時代のことなどの話を楽しみに参加者が集いました。
場所は、広告協賛でもお世話になっているグランディールの高知駅前店。
昨年末オープンしたばかりのオシャレな場所で、美味しいディナーをいただきながらの交流となりました。
前半まずはディナーをいただきながらのおしゃべりタイム。
自己紹介や雑談を交えながら、お互いの距離を縮めていきました。
太田昭さんと
新郎新婦のように
並ぶ果報者は、
子どもの舞台
研究部 部長です
後半はお待ちかね。太田さんのお話をじっくり聞かせていただく時間。
東京演劇アンサンブル(1954年~)は、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの演劇論に影響されて作品を作り続けており、劇団名もブレヒトの劇団『ベルリーナ・アンサンブル』にちなんでいるそうです。
ブレヒトは、役への感情移入によって観客を誘導するのではなく、舞台上での出来事を客観的・批判的に見ることを促し、観客自ら新しい見方、考え方、気づき、本質に迫ることを提唱しています。(叙事的演劇)
自ら気づき、意思決定できる人間を育てることは、今の世の中には重要で、ブレヒトの志とともにこれからも歩んで行きたいとおっしゃっていました。
一方、私たちは観劇をとおして役に寄り添い、感情移入したり、舞台上でおこる出来事を疑似体験する機会もあります。
どちらかというとそういう機会の方が多いような気がします。もちろんそうした共感力を育む機会も必要です。
そんな中で、今回の東京演劇アンサンブルの大切にしている演劇論に基づいて作られた『はらっぱのおはなし』との出会いが貴重であり、楽しみでなりません。
また、今回の『はらっぱのおはなし』は虫たちの一日をオムニバス形式で描いた物語。原作は松居スーザンさんです。
プロジェクションマッピングなどの技術を用いて美しく彩られた虫たちの世界。そこで繰り広げられる物語は、はじめて観劇する小さい人からおとなまで、みんなで楽しめるものになっています。楽器の生演奏や、歌も見どころ!
太田さんは現在42歳。川崎のおやこ劇場で育った劇場っ子でもあります。
劇場の仲間との楽しい思い出、当時は面倒くさくも感じていた母親からの愛などたくさんのお話を聞かせていただきました。
特に心に残ったのは、「演劇というものをまるで食事のように与えてくれた母親に感謝している」という言葉でした。
食事のように、さりげなく、自然に、大切に、太田さんのお母様は与えておられたのだろうかと思いを巡らせると、心が温まって、私たちもそんな風に子どもたちに舞台鑑賞を届けたい!と力をもらいました。
たくさんの作品との出会いも大切ですが、どういう思いを持った劇団と出会うか、また私たちの思いや現状も劇団の方に知ってもらうことが、子どものための舞台文化を守り、続けていくために大切ではないかと感じました。