【高学年例会報告】
「生音空間」岡林立哉『馬頭琴とホーミーの調べ』

子どもとおとなが一緒に年4回、生の舞台(演劇・音楽・人形劇など)を楽しみます。
定期的・継続的に観るので、舞台鑑賞(定)例会と言います。

2024年9月11日(水)19:00開演、かるぽーと小ホールにて、「生音空間」岡林立哉さんによる《高学年例会》『馬頭琴とホーミーの調べ』を上演しました。

9月の高学年例会は、なかなか普段耳にすることのない馬頭琴とホーミーによるコンサートでした。

[馬頭琴]はモンゴルの民族弦楽器ですが、馬をとても大切にしているモンゴルらしく、棹に馬の頭の彫刻がされていたり、弓や弦が馬のたてがみで出来ています。岡林さんの馬頭琴は、モンゴルでも最近は珍しい山羊の皮を張り(最近主流は木製)土臭く、野生を感じさせられるとても落ち着いた音色に温かみや切なさも感じます。日本では、『スーホの白い馬』という絵本でも印象的な紹介をされています。

[ホーミー]は、うなるような低い音と高い音を同時に出す、とても不思議で独特なモンゴルの伝統的な歌唱法です。ホーミーのその響きは耳を塞いでも聞こえてくるんだと教えてもらい、皆で耳を塞いで実際に聞いてみると頭蓋骨に、身体全体に振動が伝わってきました。

演者の岡林立哉さんは、訪れたモンゴルで出会った馬頭琴とホーミーに感動し、自分でどうしてもその音を出したいと努力を重ねています。そして多くの人にモンゴルの素晴らしさを体験してほしいと、毎年のように自らツアーを企画し感動の輪を広げています。

ロビーでは、モンゴルでの映像がプロジェクターに映し出され、雄大な大自然やそこでの生活を感じる事が出来て、始まる前からトリップした気分に。

ロビーではモンゴルの風景が上映されていました

豊富なその実体験を、語りと演奏で私達に教えてくれました。

いろんな歌をお話と共に披露してもらいましたが、はじめてモンゴルへ行き草原のゲルで出会った家族のもとに自分の家族を連れて行った時に、歌詞の中の「私の子どもが無事帰ってきた」という部分を岡林さんの名前に変えて歌ってくれたのが嬉しかった、という話が印象的でした。

モンゴルの星空はほんとに美しく、岡林さんはぜひ皆にこの星空を見せたいそうです。

目を瞑って演奏を聞くと、そこはもうモンゴルの大草原。馬の走る音、いななき、モンゴルの風、遊牧民の生活、星空の瞬き等、全てを表現する馬頭琴という楽器の圧倒的な奥深さに驚きます。

岡林さんのお話はとてもおもしろく分かりやすく、現地での遊牧民の方の生活を窺い知ることが出来ました。モンゴルの事をほんとに好きな岡林さんの気持ちが伝わって来て、「いつかモンゴルに行きたい!」と思った方は沢山居るはず。

終演後は、馬頭琴に触らせてもらいました。

棹についてる馬はとてもステキで、触った弦はツヤツヤしていて思った以上に硬い。あるコンサートでの終演後には、弦に使われているたてがみの本数(約130本)を1本1本数えた方がいるそうです。その方の根気と、改めて岡林さんのお人柄の気さくさを感じます。演奏していると、湿度等で弦が少しずつ切れるようになってくるそうですが、それを拾って大興奮の子どもたち。また一つ世界が広がる経験が出来て、最後まで楽しめた例会でした。

             子どもの舞台研究部 S.K

高知市こども劇場は会員制で運営しています。例会当番も会員が担っています。
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